2012年9月27日木曜日

アウダイールが語る『ローマの成功への鍵』 / Aldair talks about defender's role in Zemanlandia.


昨シーズン、ルイス・エンリケがローマの監督となった際に我々が
もっとも耳にした単語は”我慢”と”プロジェクト”だった。

一般的な予想に反して、シーズン初めの段階ではローマのファンと
メディアはチームの改革の行く末を”我慢”強く、静かに見守っていたが、
チャンピオンズ・リーグ及びヨーロッパ・リーグへの出場が難しくなって
くると、その静けさはあっという間に消し飛んでしまった。

エンリケは非難の声にうんざりして職を辞し、代わってゼーマンが
ローマの新監督というオファーに飛びついた。
これはほんの数か月前の出来事である。しかし我々はまだ10月にも
なっていないと言うのに、開幕戦のカターニア戦でのドロー、ボローニャ
に喫した逆転負けを観た後で、既に去年と同じような苛立ちを感じ
始めている。
ローマはボローニャには2点リードをひっくり返され、カターニア相手
には何度もあったチャンスをふいにし続けた。


エンリケが辞任し、新監督にゼーマンの名前が挙がってから、今に
至るまでずっと繰り返されている質問がある。

-果たしてゼーマンはローマの新監督としてふさわしいのか?

バルディーニはこの質問に対して以前にこう答えている。
『我々が探していたのはチームを勝利に導ける監督だ。ファンを
ハッピーにさせる監督ではない。そしてゼーマンこそが前者にあて
はまると私は信じている。』 

少なくともローマがシーズン当初に躓くのは別に驚くようなこと
では無い。エンリケの元で1年をかけて理解を深めてきた戦術が
まったくの白紙になったことに加え、多くのベテラン選手がこの夏
クラブを去っている。
新加入選手のほとんどはセリエAに慣れるまでの時間が必要だし、
それに加えて新エースの期待がかかるデストロは自身に付けられた
巨額の移籍金に対する世間からのプレッシャーも跳ね除けなければ
ならない。
そして若いローマの選手達にとって、カルチョの世界に適応する
よりも難しいのはゼーマンの戦術を理解することである。彼らが
今まで経験してきたサッカーとは全く異次元の戦術を数か月で
理解するのはほぼ不可能に近い。特にディフェンダーにとっては
困難を極める作業だろう。


ローマで長らくセンターバックとして活躍し、90年代後半にゼーマンの
元でもレギュラーを務めたアウダイールはゼーマニズムにおける
ディフェンダーの役割についてこう語る。

『ゼーマンのサッカーではディフェンダーがミスをしている様に
見えるケースが非常に多いんだ。なぜならDFは膨大な運動量を
要求されるだけでなく、瞬時の状況判断を要求される様なリスクの
高いディフェンス・スタイルを求められるからね。』

アウダイールは今年ローマに加わったカスタンとピリスを注意深く
観察し続けており、彼等のセリエAでのスタートが上手くいかなかった
理由は戦術面にあると分析している。

『私は個人を非難するようなことはしないよ、特にピリスとカスタンに
ついてはね。どんな選手でも海外からイタリアにやってきてからの
最初の数か月は本当に難しいんだ。特に彼等はディフェンスラインが
とても低いブラジルから、イタリアでも一番高いローマにやってきた
んだから戸惑うのは当然さ。』

『昨年、ゼーマンが率いてセリエB優勝を成し遂げたペスカーラでさえ、
シーズン開始後9月末まではスロースタートだった。一旦新しい戦術
および新しい環境への適応が上手くいけば、私はゼーマンとローマに
もっと注文をつけることにするよ。だけど今の段階では、チームに対する
過大な期待に対して、あまりにも戦術面、チームの構成面で新しい
要素が多すぎる。』

『インテル戦では新しいローマのポテンシャルの一面を見ることが出来た。
反面、悪い面も別の試合で見えたのも事実だ。もちろんボローニャ戦の
後半の守備の崩壊を言い訳することなど出来ない。しかしその1試合
だけを持ち出してゼーマンのチームの守備を非難することは的外れだ。
ローマは今迄も同じような試合を何度も経験している。』

『安易に新加入の選手のプレーを批判して、彼等を去年アンヘルが
辿ったコースに追いやるのではなく、ピッチで起こった事の責任はもっと
経験豊富な選手・・・つまりステケレンブルフ、ブルディッソ、デ・ロッシと
いった選手達が負うべきだ。組織的なディフェンス、中盤でのボール
支配といった目的を達成するためのリーダーは彼等だからね。試合を
通じて、彼等には着実にプレーに磨きをかけていくことを期待したい。』

『これからの数か月、チームとファンに求められるのはただ1つ
"我慢"だ。これが無ければローマはまた昨シーズンの二の舞になって
しまうだろう。』